2020年08月23日
企みの陰に女あり
20200820【新作】
企みの陰に女あり
夫:お母さん、冷蔵庫のお母さんの化粧水の横に入れて置いた、
私のメロン知りません?
妻:あっ、あのメロンね。処分しておきましたよ。
明日は生ゴミ出す日ですから、今日中にまとめておかないとね。
夫:「処分しておきました」って、まだ食べられましたよねぇ。
妻:もう、食べられませんよ、皮だけですから。
夫:だってぇ、私が昨日の晩に冷蔵庫に入れた時には、
皮だけじゃなく、ちゃんと実も残っていたはずですけどねぇ。
妻:そうでしょうね。
私がさっきお父さんの留守に見た時も、
ちゃんと実も残っていましたからねえ。
夫:それじゃあ、何で無くなったんでしょうかねぇ?
妻:それは、私が実を食べて皮を捨てたからでしょ。
夫:お母さん、ひどいじゃないですかぁ。
メロン1玉を半分ずつ食べる約束だったじゃないですかぁ。
妻:ですから、私は自分の分は食べましたよ。
夫:私は昨日4分の1食べてぇ、
あとの4分の1は今日の晩ご飯のあと食べようと思って、
ちゃんとラップして冷蔵庫に入れて置いたんですよぉ。
妻:な~んだ、あの4分の1のメロンは、
今日の晩ご飯のあと食べようと思ってたんですねえ。
私はてっきり「もうお父さん食べないんだ。
権利を放棄したんだ」と思って、
お父さんのお留守にいただいちゃいましたよ。
夫:「お父さんのお留守に」って、毎週水曜日の3時から6時は、
デイサービスの送りのお手伝いに行ってるの、
お母さん知ってるじゃないですかぁ。
妻:最近、曜日の感覚が無くなってきましてねえ。
今日は水曜日でしたかぁ?へ~ぇ。
夫:お母さん、騙されませんよぉ。
さっき、お母さん「明日は生ごみを出す日だ」って言いましたよねぇ。
曜日の感覚、しっかりしてるじゃないですかぁ。
妻:いいえ、曜日の感覚はしっかりしていません。
夫:「しっかりしていません」っていうのは、
確信をもってしっかり言うんですねえ。
妻:そこがしっかり言えなきゃ、お父さんを言い負かせないじゃない。
夫:それじゃあ、私を言い負かせられるものなら言い負かせてくださぃ。
もう一度言いますよぉ、
お母さん「明日は生ごみを出す日だ」ってぇ、知ってるって言うことはぁ、
曜日の感覚がしっかりしているって言うことですよねぇ。
妻:いいえ、曜日の感覚はしっかりしていません。
さっき、お父さんがどちらかに出かける前に、
私に「明日は生ごみを出す日ですから、
ゴミ袋の口をしっかり縛っておいてくださいねぇ、
ゆるいと、持っていく途中にほどけそうになりますからぁ。」
って言ったからですよ。
夫:くやし~~、簡単に言い負かされたぁ。
そうだ、でもお母さん、もともとあのメロンってぇ、
私の実家の兄夫婦がぁ、
「私が食べるように」と送ってくれたものですよねぇ。
妻:何言ってるのよ、お父さん。
なんで「お父さんが食べるように」送ってくれたと言い切れるわけ?
お父さん、この時期の贈答と言うのはね、
お世話になった人への感謝の気持ちで贈るのよ。
だから「送る」じゃなくて「贈る」の漢字をあてるの。
お父さんの実家のお兄さんご夫婦が、
「いつもお父さんがお世話になっています」
と言う感謝の気持ちを込めて、
私に贈ってくださってるんじゃない。
それが証拠には、私の実家からは、
この時期な~んにも贈ってこないでしょ。
夫:それって、「お母さんが優秀で、私のお世話になっていないから、
わざわざ感謝の品を贈らなくてもいい」と言う意味なんでしょうかぁ?
妻:自分の口からは言いずらかったですけど、
お父さんがちゃんと理解していらして助かりましたわ。
夫:なんか違う意味で考えてましたけどぉ、そんなもんですかねぇ。
妻:そんなもんですよ。
夫:ちょっと待ってください、だけどおかしいですよぉ、
だってぇ、私の実家から届いたメロンってぇ、
お母さん宛じゃなくてぇ、私宛に送ってきてるんですよぉ。
妻:嫌ねえ、お父さん。
こうゆうものは世帯主に送るのが世の常じゃない。
それじゃあ伺いますけど、送り主は誰になってましたかねえ?
夫:そりゃあ、送り状には兄さんの名前が書いてありましたよぉ。
ちゃんと『サトウ一郎』ってねぇ。
妻:で、字は、一郎さんの字でしたか?
夫:いいえぇ、きれいな字でしたよぉ。
兄さんの字は、ごつごつした角ばった字ですから、
すぐに分かりますよぉ。
妻:そうでしょう、お姉さんの字でしたよねえ。
あの長男の甚六そのものの様な一郎さんが、
メロンを贈ろうなんて気を回すことは無いですものね。
夫:「犯罪の陰に女あり」ですねぇ。
妻:「犯罪」ではないですけど、まあ「企み」ね。
つまり、お姉さんは、
お父さんのことで私に苦労を掛けていると思っているから、
私にメロンを贈ってきたわけね。
でも、直接お姉さんから私宛だと語弊があるので、
お兄さんの名前を使ってお父さん宛に送ってきたんじゃない。
夫:そうなんですかねぇ。
妻:そう考えると、
メロンは私が全部いただいても良かったんでしょうけど、
メロンを送っていただくのに
お父さんの名前を使わせていただいたから、
名前の使い賃としてメロンを4分の1も食べることができて、
ラッキーでしたね。
夫:ラッキーでしたかねぇ?
妻:ラッキーじゃない。
そうそう、忘れるところでしたが、
お姉さんにメロンのお礼の電話かけといてくださいよ。
夫:何で私が電話かけるんですかぁ?
お母さんがメロンを贈ってもらったんでしょぉ。
そのうえ、メロンを4分の3食べたんですからぁ、
お母さんが電話かければいいじゃないですかぁ?
妻:私、お姉さんが苦手なのよねえ、だから、お父さんが電話かけて。
それから、言っておきますけど、
電話にお兄さんが出たら、お姉さんに代わってもらいなさいよ。
直接お姉さんにメロンのお礼を言うのよ、いいわね。
お兄さんにメロンのお礼を伝えても、
お姉さんに伝わらない心配がありますからねえ。
夫:なるほどぉ、「企みの陰に女あり」かぁ。
Posted by サトウ三郎 at 07:36│Comments(0)
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